菌床ホダ木の特徴・開発力

2.シイタケの育種

(1)シイタケの生活環(ライフサイクル)
 シイタケのライフサイクル(下図)は、子実体ヒダの担子器に胞子が形成され、胞子が飛散して一次菌糸となり、一次菌糸同士が融合して新しい二次菌糸となります。(一次菌糸と二次菌糸が融合する場合もあります。)
 1つの品種について、二次菌糸を大量に培養しシイタケを栽培しているのが菌床生産であり、様々な性質を持った菌株の子実体から胞子を分離し(単細胞分離)、得られた一次菌糸を組み合わせて(交配)、新しい品種を選抜して行くのが育種開発となります。
 新品種開発では、優秀な形質を持った親株を用いて交配を行い、数千個の菌株を選抜して商業品種を開発します。当社では独自の選抜方法により、品質・収量性に優れ、培養・栽培で取り扱いしやすいシイタケ品種の開発を進めています。

 


シイタケの生活環(ライフサイクル)と菌床培養による生産および交配育種による新品種開発

 

(2)当社の育種技術
 新品種開発の流れと当社独自の複合評価方法を下図に示しています。
 特徴は交配菌株の菌床選抜試験の中に『完熟樹皮化方法』と『袋内追培養方法』の2種類の異なった製造・栽培方法を用いて選抜し、 更に『耐久性試験』を付加して菌株の特徴を詳しく探り、効率的に優良菌株の選抜を進めています。
 例えば、『袋内追培養タイプ』の菌株を育成する場合、菌床が弱い(浸水で崩れやすい)、害菌抵抗性が低い、キノコが小粒で集中発生するなどのマイナス点は、前述の『樹皮化菌床タイプ』の工程で評価すると、培養途中で破袋するため更に厳しい選抜となり、開放系での培養工程の中で菌床腐れや不時発生として、上記マイナス点を持った菌株は一掃されます。また、『樹皮化菌床タイプ』の製造法はトータルの収量性が高く、菌株の最大限の能力が判るため、培地原料の配合組成検討や製造工程の改良などの目標が明確となります。更に、菌床やキノコの成長過程で大量の散水を行い、耐水性を評価する独自の耐久性試験を加えることにより、『袋内追培養タイプ』の菌株に於いて、菌床が長持ちし、多湿環境でも腐れに強いシイタケの育成が可能となりました。
 これまで述べてきた選抜方法の組合せにより、KA−1001号が『袋内追培養タイプ』の菌株として開発され、優れた品質と収量性だけでなく、特殊な操作を省き、日常の作業性を簡便化することが可能となりました。例えば初回発生に於いて、間引きによる芽数の調整が軽減し、特殊な高温抑制を行うこと無く、厚肉で柄太の日持ちの良い高品質のシイタケの収穫が可能となります。
 また、商品化された品種は清浄度が管理(クラス管理)された専用の種菌工場で生産され、安全な種菌の出荷や保管を行っています。


新品種開発の流れと当社独自の複合評価方法

 

 

 

 

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